子育て本の良書はいろいろあるが、このシアーズ博士夫妻のチャイルドブック―3~7才児のための理想の子育て法は間違いなく最良の一つだと思う。

この本の著者は、ウイリアム・シアーズ博士とその妻マーサです。ウイリアム・シアーズ博士は、小児科医として30年の経験を持つ全米で最も有名な小児科医であり、妻であるマーサは、看護婦、母乳・出産・育児コンサルタントのキャリアを持っているというスーパー夫婦。これだけならまだ普通ですが、二人の間にはなんと8人もの子供がいるというスーパー夫婦でもあります。なぜこんなに子供が多いのかというと、夫婦はモルモン教の敬虔な信者ということなので、同教の教えの影響もあるのでしょう。いずれにせよ、シアーズ夫婦は公的にも私的にもペアレンティングの専門家と言って過言ではないでしょう。

チャイルドブック1

このチャイルドブックのどこが秀逸なのかというと、人生で成功するといはどういうことか?という、最終ゴールを明確に定義した上で、それを達成するための具体的な方法を指南している点です。シアーズ博士が定義する幸福とは、お金持ちや名誉を得ることではないとはっきりと言っています。以下、シアーズ博士の引用です。

幸福な人生にしてくれるのは、富でも名誉でもありません。彼らと、その周囲に対するかかわりの深さです。この本では、あなたとお子さんの間に、より深くて豊かな絆をつくり上げることを、最終ゴールとしているのです。

チャイルドブック3

本編は、以下の章立てになっています。パート1とパート2に分かれていています。

パート1:成功のためのツール

1章:人生で成功するとはどういう意味でしょう?
2章:子どもとしっかりとした絆をつくるために
3章:家族で取り組む子どものしつけ10の方法
4章:子どもに賢いスタートを切らせるには
5章:健全なきょうだい関係を築くために
6章:健康な体をつくるために

パート2:成功した子どもに導くために

7章:思いやりのある子どもにするために
8章:賢い選択ができる能力を育てるには
9章:子どもたちのコミュニケーション能力を養うには
10章:責任感のある子どもに育てるために
11章:道徳的な子どもに育てるには
12章:子どもの自信を高める11の方法
13章:子どもを励ます10の方法
14章:親切な行動とマナーについて
15章:健全な性感覚を身につけるために
16章:メディアとテクノロジーの影響を監督するうために

チャイルドブック2

この本を読んでいくと、確かに成功する子どもになるために必要なのは、全人格的なアプローチなのだと首肯させられます。私は時々プレジデントFamily 等の特集を見ることもあるのですが、この手の雑誌の根底に流れるのは完全な学歴志向で、とても子育てのバイブルとは呼べません。もちろん勉強が大切なことは否定しないまでも、子育ての指針とするにはあまりにも薄っぺらいと考えざるを得ません。

逆に、シアーズ博士が勧めている子育てによって育つ子どもがいるならば、社会に出て家庭を築いたときに、社会においても家庭においても関わる人たちと深い人間関係を築き、幸せな人生を送れるようになるはずです。


シアーズ博士夫妻のチャイルドブック―3~7才児のための理想の子育て法