富士登山においては、高山病をどうやって避けるのかが非常に重要なテーマになります。このエントリでは、どのように富士登山で高山病を避けることができるのか、その戦略を解説してみたいと思います。




そもそも高山病とは何か?

高山病とは、低酸素状態により発生する、頭痛、吐き気、嘔吐、眠気などの症候群のことです。

高山では空気が地上と比べて薄く、酸素濃度は標高が上がれが上がるほど薄くなります。以下のグラフは高度が上がるとどのくら酸素濃度が下がるのかを表したグラフです。五合目がある標高2400mでは酸素濃度がすでに74%程度、山頂に行くと63%まで下がってしまいます。

そのため、富士山のような2400メートル以上の高山に登り酸欠状態に陥いると、前述のような症状が出てきます。症状には、さらに、顔や手足のむくみ、眠気やあくびなどの睡眠障害、運動失調、低圧と消化器官の機能低下からくるおならどが現れることもあリます。

高山病を避けるには、高所順化して予防するしかない

高山病を避けるには、高所順化しかありません。つまり、高所に体を慣らすことで予防するしかありません。そのための対策は以下の通りです。

1)富士山五合目で1時間から2時間体を慣らす

まず絶対に避けたいのが、五合目に到着してすぐに登山を始めることです。通常、五合目まではバスで行くことになりますが、一気に標高2400メートル台まで上がるため、まずこの2400メートル台の高度に体を鳴らす必要があります。

高所順化する上では、じっとするのではなく、軽く体を動かすくらいが丁度良いようです。ですから、五合目に到着したら軽く散歩をするなどしながら、1−2時間過ごすようにしましょう。

2)とにかくゆっくりと歩く

吉田ルートの場合、六合目までは比較的なだらかな道が続きます。ここでもとにかく焦らずに、努めてゆっくりと歩くようにします。特に登山開始時は体力がまだあるため、自然と歩くスピードが上がってしまうため、意識することが大切です。

3)息切れをしないペースで登る

実際に上に登っていく際には、息切れをしないペースで歩くのが極めて重要です。息切れとは、体がより多くのエネルギーを必要とするときに、増えた酸素需要を補うため、より多くの酸素を取り込もうとする体の作用です。

そのため、富士山登山においては、息切れしながら登ることは、低酸素状態により高山病を発症するリスクを増大させることになります。

4)必ず山小屋で一泊する

富士山登山においては、日帰りで山頂を目指すことはせずに、必ず途中の山小屋で一泊するようにしましょう。

吉田ルートの場合、多くの山小屋が七合目から八合目にかけて建てられています。以下は七合目と八合目の山小屋の標高です。見て分かる通り、七合目花小屋から八合五尺の御来光館まで750mもの標高差があります。

合目 山小屋 標高
7合目 花小屋 2,700
7合目 日の出館 2,720
7合目 七合目トモエ館 2,740
7合目 鎌岩館 2,790
7合目 富士一館 2,800
7合目 鳥居荘 2,900
7合目 東洋館 3,000
8合目 太子館 3,100
8合目 蓬莱館 3,150
8合目 白雲荘 3,200
8合目 元祖室 3,250
8合目 本八合目富士山ホテル 3,400
8合目 八合目トモエ館 3,400
8合5尺 御来光館 3,450

通常、初心者は標高が低い山小屋に宿泊し高度に慣れた方が良いのですが、標高が低すぎると翌日山頂までの道がきつくなります。特に多くの登山客は御来光を見るため、早く寝て夜中に出発するため、高度順化と翌日の山頂までのルートとのバランスを取る必要があるのです。

今回僕たちは標高2740mの七合目トモエ館に祝泊しましたが、初日に標高3000mくらいまで初日に上がっても良かったかもしれないと思いました。

5)酸素ボンベは気休めにすぎない

決して安くない酸素ボンベですが、必要なのでしょうか?

登山途中、プロの登山ガイドの人が話しているのを聞きましたが、以下のような説明でした。

  • 酸素ボンベは息苦しくないときに吸っても高山病の予防にはならない
  • 登山しながら、ちょっと苦しくなってきたな、と思ったら使うようにする
  • 高山病を発症したら使っても治らない
  • 酸素ボンベはお守りのように持っておき、使わないで持って帰り、記念に飾っておくぐらいが丁度良い

お守りというのはすごい表現ですが、あっても困らないので、カバンにスペースがあれば持っていっても良いのかもしれません。僕は持って行きませんでした。

高山病を発症した時の治し方

一度高山病を発症してしまうと、基本的には下山して標高を下げるしかありません。標高を下げていくことで、不足している酸素が十分供給されるようになり、自然に回復していきます。